家中の窓へ内窓を付ければ断熱等級4になるのか、断熱等級5との違いが気になる方も多いでしょう。結論として、窓だけで住宅全体の等級は決まりません。断熱等級4は壁・床・天井・玄関ドアを含む外皮性能で判定され、断熱等級5はさらに高い基準です。この記事では、断熱等級4と断熱等級5の違い、内窓リフォームでどれくらい基準へ近づけるか、全窓を改修しても届きにくい住宅の違い、正式な調べ方まで実務的に解説します。
内窓を全部付ければ断熱等級4になる?断熱等級5との違いと判定基準
2026.09.01
窓断熱研究所は住まい改善の専門チームです。お客様ごとの状況に合わせて、最適な窓リフォームのご提案を行います。
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このコラムで分かること
- 全窓へ内窓を付けても断熱等級が決まらない理由
- 断熱等性能等級4と断熱等級5の基準・性能の違い
- UA値とηAC値で住宅全体を評価する考え方
- 内窓リフォームでどれくらい性能が変わるか
- 内窓だけで断熱等級4へ近づきやすい住宅
- 全窓を改修しても基準へ届きにくい住宅
- 断熱等級5を目指す場合に比較したい追加工事
- 費用・メリット・デメリットを含む判断方法
- 自宅の断熱性能を確認するための資料と調べ方
目次
※制度・基準は2026年8月時点の公表情報をもとにしています。住宅ごとの断熱性能は、図面・仕様・現地状況を確認したうえで、建築士や評価機関による計算・評価が必要です。
内窓を全部付けても断熱等級4になるとは限らない
内窓は、今ある窓の室内側へもう一つ窓を新設し、既存窓との間に空気層をつくる省エネリフォームです。住まいの開口部だけを短期間で高断熱化しやすい方法として、多くのメーカーが戸建て・マンション向けの商品を用意しています。古いアルミサッシや単板ガラスの家では、窓から伝わる熱を抑え、窓際の冷気や結露、冷暖房の効きの改善が期待できます。
しかし、家中の窓へ内窓を付けただけで断熱等級4を満たすとは限りません。断熱等級は、内窓の商品グレードではなく、外気に接する住宅全体の断熱性能を評価する制度だからです。断熱等性能等級は、外壁や窓などの外皮性能、日射遮蔽、結露対策などを含めて評価します。
住宅の外皮には、窓だけでなく次の部分が含まれます。
- 外壁
- 屋根・天井
- 床・基礎
- 窓・玄関ドア・勝手口
- 各部位が接する取り合い部分
窓の性能を高くしても、外壁、天井、床の断熱材が同時に変わるわけではありません。壁や天井に十分な断熱材が入っていなければ、全窓を改修しても住宅全体から逃げる熱は大きく残ります。
一方、外壁・床・天井には一定の断熱材が入り、住まい全体の弱点が古い窓へ集中している場合は、内窓リフォームによって断熱等性能等級4の基準へ近づく可能性があります。断熱等性能等級4へ対応できるかは、窓だけでなく建築時の仕様と施工状態まで確認して判断します。
この違いは築年数だけでは判断できません。建築時の断熱仕様、増改築歴、窓面積、建物形状、施工状態によって、内窓を付けた後の性能も変わります。
断熱等性能等級4と断熱等級5の基準・違い
正式名称は「断熱等性能等級」です。断熱等性能等級4は現行の省エネ基準に相当し、断熱等級5はZEH水準の断熱性能に位置付けられます。国土交通省の省エネ性能ラベルでも、断熱性能5以上と一定のエネルギー消費性能を満たす住宅をZEH水準として表示します。
二つの差は、住宅全体に求められる外皮性能の水準です。断熱等級5の方が、壁・床・天井・窓・玄関ドアを含む住宅全体から熱が逃げにくい、高い性能を求められます。
たとえば5~7地域では、UA値の基準は断熱等性能等級4が0.87以下、断熱等級5が0.60以下です。UA値は数値が小さいほど、住宅から熱が逃げにくいことを示します。地域区分によって基準値が異なるため、住宅所在地も判定条件に含まれます。
| 比較項目 | 断熱等性能等級4 | 断熱等級5 |
|---|---|---|
| 主な位置付け | 現行の省エネ基準相当 | ZEH水準の断熱性能 |
| 5~7地域のUA値 | 0.87以下 | 0.60以下 |
| 窓の考え方 | 住宅全体との組み合わせで基準を満たす | より高性能な開口部仕様が必要になりやすい |
| 既存住宅のリフォーム | 内窓だけで届く可能性がある | 壁・床・天井まで必要になる場合が多い |
| 正式な判定 | 外皮計算または所定の評価 | 外皮計算または所定の評価 |
0.87以下から0.60以下へ性能を高めるには、窓以外の断熱材や玄関ドアの仕様も結果へ大きく影響します。断熱等級4へ届いた家が、内窓のガラスだけを変更すれば断熱等級5へ上がるとは限りません。
2022年には断熱等級5・断熱等級6・断熱等級7などの上位等級が順次新設され、断熱性能をより細かく評価できる新基準になりました。2025年4月からは原則としてすべての新築住宅などで省エネ基準への適合が義務化されています。2030年までには新築の省エネ基準をZEH水準へ引き上げる予定で、今後は断熱等性能等級4より高い省エネ性能が住まいづくりの新基準になります。
この義務化や新基準は、既存住宅へ直ちに断熱等級4や断熱等級5へのリフォームを求めるものではありません。寒い、暑い、結露が多いといった悩みと、正式な評価が必要かを分けて考えます。
UA値とηAC値で断熱性能の違い
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住宅の断熱性能を判断する代表的な値が、UA値とηAC値です。
UA値は、室内から外壁、屋根・天井、床、窓、ドアなどを通じて外へ逃げる熱量を、外皮全体の面積で平均した値です。簡単に表すと、次の考え方になります。
住宅の外皮から逃げる熱量の合計 ÷ 外皮面積
内窓の性能を高くすれば、窓部分から逃げる熱は減ります。しかし、外壁や天井、床から逃げる熱量は変わりません。
窓面積が大きい住宅では内窓リフォームの影響も大きくなり、窓が小さく外壁面積が大きい住宅では、同じ製品を付けてもUA値の改善幅が小さくなる場合があります。
※窓そのものの断熱性能を示すU値と、住宅全体の断熱性能を示すUA値は、似た名称でも評価する範囲が異なります。「窓のU値と家のUA値は何が違いは?内窓効果の見方」では、内窓で窓のU値を改善すると住宅全体のUA値がどのように変わるのか、具体的な計算例を使って解説しています。

窓のU値と家のUA値は何が違いは?内窓効果の見方
高性能な窓に替えれば家のUA値も大きく下がる?窓のU値と住宅全体を評価するUA値の違い、数字の見方、内窓・外窓交換で住宅全体の断熱性能がどこまで変わるのかを具体的に解説します。
ηAC値は、冷房期に住宅へ入る日射熱の割合を見る値です。西向きや南西向きの大きな窓では、UA値だけでなく夏の日射も考える必要があります。遮熱タイプのLow-E複層ガラス、庇、外付けシェードなどを組み合わせた方が快適になる家もあります。
住宅性能表示では、UA値とηAC値を地域区分ごとの基準で評価します。冬の熱損失を抑えてUA値が断熱等級5相当でも、夏の日射対策が十分でなければ、希望する評価へ届かないことがあります。
この差があるため、「一番高い内窓を選べば断熱等級5になる」とメーカーや商品名だけで判断することはできません。省エネ性能をどれくらい高める必要があるかを計算し、その結果に対応する製品仕様を選びます。
内窓リフォームでどれくらい断熱性能が変わる?
内窓でどれくらい住宅全体の性能が上がるかは、一律には決まりません。既存窓の仕様、窓面積、方角、住宅の地域区分、壁・床・天井の断熱性能で結果が違うためです。
単板ガラスと古いアルミサッシの大きな窓が多い家は、窓から逃げる熱の割合が大きく、開口部を高性能化するとUA値が下がりやすくなります。
反対に、既存窓がすでにLow-E複層ガラスで、外壁や天井の断熱材が不足している住宅では、内窓を追加しても住宅全体の改善幅は限定的です。
内窓でどれくらい変わるか、断熱等級4へ届くかを知るには、次の二つを比較します。
- 現在の窓・外壁・床・天井・ドアを使った改修前の外皮計算
- 採用予定の内窓仕様を反映した改修後の外皮計算
内窓メーカーの性能値だけでは住宅全体の等級を判断できません。LIXIL、YKK AP、三協アルミなどの製品・ガラス仕様を同じ条件で計算し、地域区分や窓種への対応も確認します。各製品の性能は、窓種、寸法、使用するガラスによって異なります。
内窓で改善できるメリットと変わらない部分
内窓リフォームには、正式な等級が上がるかどうかとは別に、暮らしを快適にするメリットがあります。
内窓で期待できるメリット
- 窓際の冷気を抑えやすい
- ガラス面やアルミ枠の結露を軽減しやすい
- 冷暖房の効率が上がりやすい
- 外から入る音を抑えやすい
- 部屋ごとの温度差を小さくしやすい
冬に窓際が寒い家では、内窓を設置するだけでも体感が大きく変わることがあります。廊下、脱衣所、浴室まで温度差を抑えられれば、ヒートショックへの配慮にもつながります。メーカーも、内窓による断熱・結露軽減・防音などの効果を案内しています。

窓リフォームの効果は?4,779人の調査で96%が高評価
窓リフォームをした人は実際に効果を感じているのか。先進的窓リノベ2025の改修者アンケートをもとに、寒さ・暑さ・結露・騒音・冷暖房の変化や満足度を窓の専門家が解説します。
内窓だけでは変わらない部分
- 外壁の断熱材
- 天井・屋根の断熱材
- 床・基礎の断熱性能
- 玄関ドアや勝手口の性能
- 壁内の断熱欠損
- 住宅全体の気密性能
- 換気設備の性能や運転方法
内窓ですき間風を抑えられる場合はありますが、家全体の気密性能が自動的に高くなるわけではありません。高断熱化では計画換気も確認します。
ここが、内窓の体感上のメリットと、断熱等級を正式に評価する制度の違いです。内窓リフォームのデメリットは、開閉する窓が二重になること、窓種によって対応できない場合があること、住まい全体の断熱材や気密性能までは改善できないことです。
内窓だけで断熱等級4へ近づきやすい住宅
内窓だけで断熱等級4へ届くかは計算しなければ断定できませんが、改善幅が出やすい住宅には共通点があります。
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壁・床・天井に十分な断熱材が入っている
築年数が古くても、建築時の仕様や過去の断熱リフォームによって、外壁、床、天井に一定の断熱材が入っている住宅があります。窓以外の外皮性能が基準に近ければ、窓をまとめて改修することで断熱等性能等級4へ届く可能性があります。改修前後のUA値を比較すれば、内窓リフォームでどれくらい性能が上がるかを具体的に確認できます。
単板ガラスとアルミサッシの大きな窓が多い
掃き出し窓や大きな腰高窓が多く、既存窓の断熱性能が低い住宅では、窓が熱損失の大きな弱点です。この場合、全窓へ高性能な内窓を新設すると、住宅全体のUA値が下がりやすくなります。
居室以外の窓も含めて改修できる
リビング、寝室、子ども部屋だけでなく、廊下、階段、洗面所、浴室、トイレなどの窓も外皮の一部です。外気に接する窓を広く改修するほど、リフォームの効果を住宅全体の計算へ反映しやすくなります。
玄関ドアや勝手口が大きな弱点ではない
窓を高性能化しても、古い玄関ドアや勝手口から多くの熱が逃げる住宅では、基準へ届きにくくなります。開口部全体のバランスが取れていることも必要です。
これらの条件がそろっていても、必ず断熱等性能等級4の基準を満たすわけではありません。住宅の形状、外皮面積、地域区分、施工状態の違いまで計算して評価します。
全窓を改修しても基準へ届きにくい住宅
家中の窓へ内窓を付けても基準へ届きにくい住宅では、窓以外に大きな弱点が残っています。
壁や天井に断熱材が入っていない
無断熱に近い住宅や断熱材が薄い住宅では、外壁や天井から逃げる熱量が大きくなります。内窓で窓部分を改善しても、住宅全体のUA値を十分に下げるのは難しくなります。
床下から熱が逃げやすい
冬に足元だけが寒い、床表面が冷たい、床下から風を感じる家は、床断熱や気流止めに問題がある可能性があります。窓際が快適になっても、床からの熱損失が残れば基準へ届かないことがあります。
断熱材の仕様や施工状態が分からない
図面に断熱材が記載されていても、実際の施工状態まで同じとは限りません。増改築を繰り返した家では、既存部分と増築部分で断熱仕様が違うこともあります。
吹き抜けや複雑な形状で外皮面積が大きい
同じ床面積でも、外壁や屋根の面積が大きい住宅ほど、熱が逃げる経路も増えます。総二階の住宅と凹凸の多い平屋では、内窓リフォームによる改善割合に違いが出ます。
玄関ドア・勝手口・天窓が未改修
居室の引違い窓だけを「全部」と考え、玄関ドア、勝手口、FIX窓、高窓、天窓が残っているケースです。住宅全体の評価では、これらの開口部も確認します。
これは内窓リフォームだけのデメリットではなく、窓だけを改修する施工範囲と、住宅全体を評価する範囲が違うためです。壁・床・天井の省エネ性能が低い住まいでは、別の断熱リフォームも必要になります。
断熱等級5を目指すリフォームの費用と追加工事
断熱等級5は断熱等級4より基準が高く、既存住宅では内窓だけで届くケースがさらに限られます。費用も内窓の数だけでは決まらず、住宅全体の弱点によって違います。
必要に応じて、次のリフォームを比較します。
- 天井または屋根の断熱材追加
- 床下断熱の強化
- 外壁の断熱改修
- 玄関ドア・勝手口の断熱改修
- 外窓交換
- 断熱欠損や気流止めの補修
- 方角に応じた日射遮蔽・日射取得の調整
- 換気設備の確認や更新
窓の改修だけで断熱等性能等級4へ届く住宅に、壁全面の断熱工事を追加すると、費用対効果が合わない場合があります。反対に、天井の断熱材がほとんどない住宅では、高額な内窓仕様を選ぶより、天井断熱へ費用を配分した方が、ZEH水準に相当する断熱等級5へ近づきやすいことがあります。
断熱等級4以上を目指して住まいをリフォームするメリットは、冷暖房費の削減だけではありません。室温差を小さくし、寒い部屋を減らし、結露やカビを抑えやすくなる点も重要です。高断熱化による表面温度や体感温度の改善、ヒートショックへの配慮も案内されています。
一方、デメリットは、工事費が高くなる、施工中の負担が増える、断熱化後に気密・換気計画の見直しが必要になる点です。補助金や住宅ローン控除を使える可能性もありますが、制度ごとの適用基準は別記事で解説します。
内窓メーカーとガラス仕様の選び方
内窓は、枠を付ければすべて同じ性能になるわけではありません。メーカーや商品、ガラス仕様の違いが、窓部分の熱貫流率や日射性能へ影響します。
代表的な内窓には、LIXILのインプラス、YKK APのウチリモ、三協アルミのプラメイクEⅡなどがあります。どのメーカーを選ぶ場合も、地域や既存窓に対応するかを確認し、次の仕様をそろえて比較します。
- 単板ガラスか複層ガラスか
- Low-E膜の有無
- 中空層の厚さ
- アルゴンガスの有無
- スペーサーの仕様
- 引違い窓、FIX窓、内開き窓などの窓種
- 窓の寸法
- 既存窓との組み合わせ
- ふかし枠の有無
- 施工精度と気密性
断熱等級4を目指す家でも、すべての窓に最上位仕様が必要とは限りません。住宅全体がすでに基準へ近ければ、一般的なLow-E複層ガラスで十分なことがあります。
反対に、断熱等級5を目指す場合や窓面積が大きい家では、一般複層ガラスでは性能が足りず、ガス入りLow-E複層ガラスなどが必要になる可能性があります。
商品を先に決めず、住宅全体の計算結果から内窓仕様を選ぶことが、費用を無駄にしない選び方です。メーカーの性能差に加え、施工精度、保証、部品対応も比較します。

内窓とペアガラス、結局どっちが正解?家の悩み別に整理
内窓とペアガラス、結局どっちが正解?家の悩み別に整理。似た選択肢の違い、向いている家、選ぶ順番を整理し、自宅で何を選ぶべきか判断できるように解説します。
断熱性能の調べ方と必要な資料
内窓の見積書だけでは、住宅全体がどの等級に当たるか判定できません。正式な調べ方では、建物全体の仕様を集めて外皮計算を行います。
主に必要となる資料は次のとおりです。
- 建物所在地と地域区分
- 平面図・立面図・断面図
- 延べ床面積と外皮面積
- 壁・床・天井・屋根の断熱材の種類と厚さ
- 既存窓のサイズ・窓種・ガラス・サッシ仕様
- 設置する内窓の製品・ガラス仕様
- 玄関ドア・勝手口の仕様
- 増改築や断熱リフォームの履歴
- 住宅性能評価書やBELS評価書
図面が残っていない中古住宅では、現地調査、床下・小屋裏の確認、過去の工事資料などから情報を集めます。それでも壁内の断熱材を特定できなければ、正式な評価が難しい場合があります。
築年数、窓の見た目、内窓の枚数だけでは、新基準との差や等級の違いは判断できません。建築士や評価機関へ依頼し、断熱等性能等級4に対応するか、さらに高いZEH水準へ届くかを計算します。
公的な証明には、住宅性能表示制度やBELSなどの評価制度を活用します。BELSは第三者機関が住宅のエネルギー消費性能や断熱性能を評価する制度です。
※住宅省エネルギー性能証明書が必要になるケースや取得方法は、「住宅省エネルギー性能証明書はいつ必要?中古住宅の取得手順」で解説しています。

住宅省エネルギー性能証明書はいつ必要?中古住宅の取得手順
中古住宅の省エネ性能を証明するには、いつ、誰に、何を依頼するのか。発行できる機関、取得時期、準備資料、性能評価書との違いまで解説します。
※住宅ローン控除と断熱等級4・5の関係は、「断熱等級4がないと住宅ローン控除は受けられない?」で詳しく解説しています。

断熱等級4がないと住宅ローン控除は受けられない?
「断熱等級4がないと控除を受けられない」は誤解です。省エネ基準適合住宅、ZEH水準、その他の既存住宅の違いから、必要な性能と証明を整理します。
体感の改善と公的な評価の違い
冬の寒さ、窓際の冷気、結露、防音を改善したいだけなら、必ずしも公的な等級を取得する必要はありません。
内窓リフォームには、窓から伝わる熱や冷気を抑えやすくするメリットがあります。リビング、寝室、浴室など、長く過ごす部屋や温度差が気になる場所から施工する選び方も可能です。
一方、次の目的がある場合は、体感改善との違いを理解し、住宅全体の性能評価を行います。
- 断熱性能を公的に示したい
- 省エネ基準適合住宅として証明したい
- 補助金・ローン控除などで性能水準を使いたい
- 売却時に住宅の性能を示したい
- 断熱等級4・断熱等級5・断熱等級6のいずれかを改修目標にしたい
正式な評価では、住宅全体の外皮計算、現況確認、所定の証明書が必要です。内窓を付けて快適になったことと、公的な等級が上がったことは同じではありません。
断熱等級6など、さらに高い水準を目標にする場合は、窓以外の断熱材、気密、換気、施工品質までより厳しく確認します。
内窓リフォームを判断する順番
内窓を付ける前に、次の順番で計画すると、不要な工事や性能不足を避けやすくなります。
- 寒い・結露・暑い・防音のうち、優先したい悩みを決める
- 公的な等級の評価が必要か整理する
- 図面と既存窓の仕様を集める
- 住宅全体の弱点が窓か、壁・床・天井にもあるか確認する
- 内窓だけの場合と追加工事を行う場合の違いを比較する
- メーカー・製品・ガラス仕様と費用を比較する
- 補助金や税制の利用条件を確認する
- 工事後に必要なら性能評価や証明を行う
「寝室の窓際だけ寒い」なら、住宅全体をZEH水準へ上げるより、寝室の内窓を優先する方が費用を抑えやすくなります。
反対に、「家全体が寒い」「床も壁も冷たい」「暖房を止めるとすぐ室温が下がる」という住宅では、窓以外の断熱性能も調べた方がよいでしょう。
目的と症状に応じて、必要な省エネリフォームの範囲を選びます。住まいの快適性を優先するのか、公的な評価や補助金制度の活用まで考えるのかで、最適な計画は違います。
断熱等級4.5についてのよくある質問
内窓を全部付ければ断熱等級4になりますか?
住宅によって違います。壁・床・天井に一定の断熱性能があり、古い窓が住宅全体の弱点になっている場合は基準へ届く可能性があります。最終判断には外皮計算が必要です。
断熱等級4と断熱等級5はどれくらい違いますか?
5~7地域のUA値では、断熱等級4相当が0.87以下、断熱等級5が0.60以下です。
窓だけでなく、壁・床・天井・玄関ドアに求められる性能も違います。
内窓のガラスはLow-E複層ガラスにした方がよいですか?
目標と住宅の状態で違います。高い省エネ水準を目指す場合や窓面積が大きい住宅では有力ですが、部分的な寒さ対策なら別仕様で十分な場合もあります。
図面がなくても断熱性能を調べられますか?
現地調査や過去の工事資料から確認できる場合があります。
壁内の断熱材や外皮面積を特定できなければ、正式な評価が難しいこともあります。
等級が上がらなくても内窓のメリットはありますか?
あります。住宅全体が基準へ届かなくても、窓際の冷気、結露、冷暖房効率、防音の改善が期待できます。
公的な評価と暮らしの快適性は分けて判断します。
内窓だけで等級が決まらない理由を理解する
家中の窓へ内窓を設置しても、それだけで住宅全体の等級が決まるわけではありません。断熱性能は、窓・玄関ドア・外壁・屋根・天井・床・基礎など、外皮全体を計算して評価します。
断熱等級4と断熱等級5の違いは、住宅全体に求められるUA値やηAC値です。既存住宅の性能が断熱等級4に近く、古い窓が大きな弱点になっているなら、全窓の内窓リフォームで目標へ届く可能性があります。
壁や床、天井が無断熱に近い家では、内窓だけで断熱等級4や断熱等級5へ上げるのは難しく、断熱材の追加や玄関ドアの改修なども必要です。
一方、公的な評価へ届かなくても、内窓によって窓際の冷気や結露が軽減し、冷暖房の効きや防音性が変わることはあります。
大切なのは、「正式な等級を証明したいのか」「毎日の寒い・暑いを改善したいのか」という目的の違いを先に整理することです。
窓断熱研究所では、図面、築年数、現在の窓写真、過去のリフォーム履歴をもとに、内窓でどれくらい改善できるかを確認します。断熱等級4、またはZEH水準に相当する断熱等級5を目標にする場合は、窓だけでなく住宅全体の性能と費用を見ながら、必要な改修を比較しましょう。