内窓やサッシ交換を行うと、省エネリフォーム減税によって所得税の税額控除を受けられる場合があります。窓の省エネリフォームは住宅ローンの有無を問わず、一部の窓だけを改修する工事も対象になり得ます。ただし、減税には、改修後の性能に加え、標準的な工事費用相当額から補助金を差し引いた額が50万円を超えること、床面積、所得、増改築等工事証明書などの要件があります。
この記事では、住宅ローン控除とは別の省エネリフォーム減税について、対象工事、控除額、必要書類、確定申告まで窓工事の視点から解説します。
内窓・窓交換で所得税が戻る?省エネリフォーム減税を解説
2026.08.29
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このコラムで分かること
- 内窓・ガラス交換・外窓交換が省エネリフォーム減税の対象になる条件
- 一部屋や一部の窓だけでも減税を受けられるか
- 実際の見積額と「標準的な工事費用相当額」の違い
- 所得税の税額控除を計算する方法
- 補助金を利用した場合の費用要件
- 増改築等工事証明書と確定申告の進め方
- 固定資産税の減額、住宅ローン控除との違い
目次
※制度情報は2026年8月28日時点の国土交通省・国税庁の公式情報をもとにしています。個別の適用可否や税額は、所轄税務署または税理士へご確認ください。
省エネリフォーム減税は内窓・窓交換でも利用できる
省エネリフォーム減税は、自分が所有して住む住宅へ一定の省エネ改修を行ったとき、その年分の所得税から所定の金額を差し引ける制度です。正式には、リフォーム促進税制の「住宅特定改修特別税額控除」に当たります。
窓の断熱改修は、省エネリフォーム減税の必須工事です。対象になるのは、ガラス交換、内窓の新設・交換、サッシとガラスを一緒に替える外窓交換です。これらと併せて、床・壁・天井の断熱改修、高効率空調機・給湯器、太陽熱利用システム、太陽光発電設備の設置を行う場合も、要件に沿って減税対象へ含められます。
この減税は、住宅ローンを使わず自己資金で施工した場合も利用できます。控除を受けるのは、リフォーム後に居住を始めた年の所得税です。補助金のように工事代金が支給される制度ではなく、納めた所得税を超えて戻るものでもありません。2028年12月31日までに改修後の住宅へ居住することが適用条件です。
減税の対象になる窓の省エネリフォーム
税制上の対象になるかは、商品名ではなく、施工部位と改修後の性能で判断します。
内窓の新設・交換
既存窓の室内側へ樹脂製の内窓を取り付ける工事です。LIXIL「インプラス」やYKK AP「ウチリモ」などがありますが、減税の可否は製品名だけでは決まりません。改修後の窓が地域区分に応じた基準へ新たに適合する必要があります。
ガラス交換
現在のサッシを利用し、複層ガラスやLow-E複層ガラスなどへ替える工事です。ガラスと既存サッシの組み合わせで、必要な断熱性・日射遮蔽性を満たすかを確認します。
外窓交換
既存のサッシとガラスを新しい断熱窓へ替える工事です。カバー工法・はつり工法とも、基準を満たす外気に接する窓の改修であれば対象になり得ます。
内窓とガラス交換、内窓と外窓交換を同じ住宅で組み合わせることも可能です。一方、玄関ドアや勝手口ドアの交換、カーテン、ブラインド、遮熱フィルムだけの施工は、この省エネリフォーム減税における窓の断熱改修には含まれません。
一部屋・一部の窓でも省エネリフォーム減税の対象になり得る
省エネリフォーム減税では、住宅にあるすべての窓を改修する必要はありません。2階建て住宅の1階だけ、リビングと寝室だけなど、一部の窓へ内窓や外窓交換を行う工事も対象になり得ます。
ただし、改修した窓が平成28年省エネ基準相当へ新たに適合し、窓を含む省エネ改修全体の標準的な工事費用相当額から補助金を差し引いた金額が50万円を超える必要があります。小窓1か所だけでは、性能要件を満たしても費用要件に届かないことがあります。
複数の窓と床・壁・天井の断熱改修、高効率給湯器などを組み合わせ、制度上の計算額が50万円を超えれば、窓工事だけで50万円を超えていなくても対象になる可能性があります。
省エネリフォーム減税を受けるための要件
| 確認項目 | 主な要件 |
|---|---|
| 所有・居住 | 自分が所有し、主として居住する住宅 |
| 工事内容 | 窓を断熱改修し、施工部分が平成28年省エネ基準相当へ新たに適合 |
| 費用 | 標準的な工事費用相当額から補助金等を差し引いた額が50万円を超える |
| 床面積 | 登記簿上40㎡以上。合計所得金額1,000万円超の場合は50㎡以上 |
| 所得 | 控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下 |
| 入居 | 工事完了または引渡しから6か月以内 |
| 期限 | 2028年12月31日までに改修後の住宅へ居住 |
| 併用住宅 | 床面積と工事費のそれぞれ2分の1以上が居住用 |
本人が主として住まない賃貸住宅、別荘、セカンドハウスは原則として対象外です。また、改修前から平成28年省エネ基準相当を満たす窓を同等性能の製品へ替えても、「新たに適合する工事」にはならず、減税対象として計上できません。
所得税の控除額は標準的な工事費用相当額で決まる
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省エネリフォーム減税は、施工会社へ実際に支払った金額をそのまま使うのではなく、国が工事内容ごとに定める「標準的な工事費用相当額」で計算します。
窓の標準的な工事費用相当額は、次の考え方です。
工事区分・地域に応じた単価 × 家屋の床面積 × 改修した窓の面積割合
面積割合は、外気に接するすべての窓に対し、対象となる改修を行った窓が占める割合です。浴室、トイレ、吹き抜けなどの窓も、外気に接していれば分母へ含めます。
国土交通省の例では、6地域・延べ床面積75㎡の住宅で、外気に接するすべての窓へ内窓を新設した場合、標準的な工事費用相当額は60万7,500円です。補助金がなければ、その10%に当たる6万750円が計算上の所得税控除額になります。
実際の工事費が100万円でも、標準的な工事費用相当額が50万円以下なら減税は使えません。この違いがあるため、見積金額だけで適用可否を判断しないことが重要です。
省エネリフォーム減税の控除率と上限額
省エネ改修は、標準的な工事費用相当額から補助金等を差し引いた金額の10%が基本です。10%控除の対象工事限度額は250万円で、基本部分の上限は25万円です。
250万円を超えた省エネ改修費と、同時に行う一定の増改築等については、一定範囲で5%の控除を加えられます。10%部分と5%部分を合わせた最大控除額は62万5,000円です。太陽光発電設備を併設する場合は、10%部分の対象工事限度額が350万円、最大控除額が67万5,000円になります。
算出額がそのまま現金で支給されるわけではなく、実際に控除されるのは、その年に納める所得税の範囲です。
補助金を使う場合は減税の計算から差し引く
先進的窓リノベ2026事業などの補助金と、省エネリフォーム減税は要件を満たせば併用できます。ただし、補助金額は標準的な工事費用相当額から差し引きます。
たとえば、標準的な工事費用相当額が70万円、対象工事に対応する補助金が25万円なら、差引後は45万円です。50万円超の費用要件を満たさないため、この工事だけでは減税を利用できません。
増改築等工事証明書を作成する建築士等が、対象工事と補助金の対応関係を確認します。契約前に、補助予定額を含めても要件を満たすか相談しておきましょう。
増改築等工事証明書は工事前に発行可否を確認する
確定申告では、対象工事の内容と標準的な工事費用相当額を記載した「増改築等工事証明書」が必要です。
発行できるのは、登録建築士事務所に所属する建築士、指定確認検査機関、登録住宅性能評価機関、住宅瑕疵担保責任保険法人です。施工会社の担当者が、資格や所属に関係なく発行できる書類ではありません。
発行は義務ではないため、工事後に依頼しても対応してもらえない場合があります。見積もり段階で、誰が証明書を発行するか、発行費用、工事前写真や製品仕様書などの必要資料を確認しましょう。
契約から確定申告までの流れ
- 施工会社へ省エネリフォーム減税を検討していると伝える
- 建築士等へ対象工事と証明書発行の可否を確認する
- 改修する窓、性能、補助予定額を含む見積もりを作る
- 工事前写真と既存窓の情報を残してから着工する
- 工事完了後、増改築等工事証明書を取得する
- 6か月以内に改修後の住宅へ居住する
- 入居した年分の確定申告を行う
給与所得者も原則として確定申告が必要です。確定申告書、住宅特定改修特別税額控除の計算明細書、登記事項証明書、増改築等工事証明書、補助金額が分かる書類などを提出します。
補助金申請を施工事業者が行っていても、所得税の確定申告まで自動的に済むわけではありません。減税の申請は住宅所有者本人が行います。
固定資産税・住宅ローン控除との違い
| 制度 | 主な特徴 |
|---|---|
| 省エネリフォーム減税 | ローンの有無を問わず、工事後に居住を始めた年の所得税を控除 |
| 固定資産税の減額 | 一定の省エネ改修後、翌年度分を減額。市区町村へ別途申告 |
| 住宅ローン控除(増改築) | 10年以上の対象ローンを使い、年末残高の0.7%を最大10年控除 |
住宅取得費用のローンに住宅ローン控除を受けている場合は、省エネリフォーム減税と併用できることがあります。一方、今回の増改築費用について住宅ローン控除を使う場合は、同じ工事で省エネリフォーム減税を併用できません。
10年以上のローンを利用して窓リフォームを行う場合の住宅ローン控除については、「窓リフォームでも住宅ローン控除は使える?」で詳しく解説しています。

窓リフォームで住宅ローン控除は使える?対象になる工事とは
自宅の窓リフォームをローンで行う場合、住宅ローン控除の対象になることがあります。工事内容、借入期間、工事費、証明書などの条件を確認できます。
固定資産税の減額は別制度なので、双方の要件を満たせば併用できる場合があります。申告先と期限は住宅所在地の市区町村で確認しましょう。
省エネリフォーム減税を使えない主なケース
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- カーテン、ブラインド、遮熱フィルムだけを施工した
- 窓を改修せず、給湯器やエアコンだけを交換した
- 改修部分が平成28年省エネ基準相当へ新たに適合しない
- 標準的な工事費用相当額から補助金を引くと50万円以下になる
- 本人が所有・居住しない住宅である
- 工事完了後6か月以内に居住しない
- 床面積・所得の要件を満たさない
- 増改築等工事証明書を取得できない
- 増改築費用に対する住宅ローン控除を選択する
対象製品を設置しただけでは、減税できるとは限りません。工事範囲、既存性能、計算額、補助金、証明書までを一つの計画として確認します。
省エネリフォーム減税と窓工事でよくある質問
内窓を1か所付けるだけでも対象ですか?
一部の窓だけでも対象になり得ます。
ただし、性能要件と、補助金控除後の標準的な工事費用相当額が50万円を超える条件を満たす必要があります。
現金で窓リフォームをしても利用できますか?
利用できます。省エネリフォーム減税は、住宅ローンの有無を問いません。
すべての居室の窓を改修する必要がありますか?
必要ありません。1階だけ、特定の部屋だけなど、一部の窓改修も対象になり得ます。
補助金と減税は両方使えますか?
要件を満たせば併用できます。ただし、補助金は標準的な工事費用相当額から差し引きます。
所得税はいくら戻りますか?
標準的な工事費用相当額、補助金、同時工事、その年に納める所得税で変わります。実際の見積額の10%がそのまま戻る制度ではありません。
省エネリフォーム減税は契約前に確認する
内窓、ガラス交換、外窓交換は、省エネリフォーム減税の対象になる場合があります。すべての窓を施工する必要はなく、一部の窓だけでも、性能・費用・住宅・所得などの要件を満たせば所得税控除を申請できます。
控除額は実際の工事費ではなく、国が定める標準的な工事費用相当額をもとに計算します。補助金等を差し引いた金額が50万円を超えることが必要で、基本部分は10%、対象工事限度額は250万円です。一定の追加工事を含めた最大控除額は62万5,000円ですが、納めた所得税以上には戻りません。
利用するなら、工事後ではなく見積もり・契約前に、対象工事、既存窓の性能、補助予定額、増改築等工事証明書の発行可否を確認しましょう。
窓断熱研究所では、内窓・ガラス交換・外窓交換の見積もりと製品資料、補助予定額を整理します。税額控除の最終判断、証明書発行、確定申告は、対応する建築士等、税務署、税理士へご確認ください。