室内熱中症は、エアコンを使っている家や高齢者施設でも起こります。室温が高い、湿度が下がらない、窓から強い日差しが入る、冷房が届きにくい、水分補給が不足していると、家の中でも熱中症のリスクが高まります。特に単板ガラスや古いアルミサッシ、西日が入る大きな開口がある場合、冷房だけでは室内を冷やしきれないことがあります。この記事では、室内で熱中症が起こる原因と症状、窓の遮熱・断熱で熱中症を防ぐ住宅・高齢者施設の暑さ対策を解説します。
室内熱中症はなぜ起こる?住宅・施設の暑さ対策
2026.07.22
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このコラムで分かること
- 室内熱中症が家の中で起こる原因
- 熱中症の症状と早めに行うべき対処
- 熱中症予防で室温・湿度・水分補給を見る理由
- 高齢者・子供・高齢者施設の熱中症対策
- エアコンだけでは室内熱中症を防げない家の特徴
- 単板ガラス・アルミサッシが熱中症リスクを高める理由
- 遮熱シート・外付け日よけ・内窓の選び方
- 補助金を使って窓の断熱リフォームを考えるポイント
目次
室内熱中症は家の中でも起こる
室内熱中症は、屋外だけでなく家の中でも起こります。総務省消防庁の令和7年5月〜9月の熱中症救急搬送状況では、発生場所別で「住居」が38,292人、全体の38.1%を占めています。屋外より家の中が安全と思われがちですが、実際には住居での発生が非常に多い状況です。
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室内熱中症は、気温だけで決まりません。湿度が高い、風が動かない、窓から日射熱が入り続ける、夜になっても壁や床に熱が残る、水分補給が不足しているといった条件が重なると、体に熱がこもります。
特に危険なのは、「エアコンをつけているから大丈夫」という思い込みです。リモコンの設定温度が低くても、窓際、2階の寝室、高齢者の個室、脱衣所、施設の食堂では、実際の室温が下がっていないことがあります。
室内熱中症を防ぐには、エアコンだけでなく、室温、湿度、窓から入る熱、住まいの断熱性を合わせて見直す必要があります。
熱中症の症状と対処
熱中症は、軽い症状に見えても短時間で悪化することがあります。めまい、立ちくらみ、大量の発汗、筋肉のこむら返り、頭痛、吐き気、体のだるさ、意識がぼんやりする状態があれば、早めに対処します。
熱中症が疑われる人は、エアコンが効いている室内や風通しのよい日陰など涼しい場所へ移動し、衣服をゆるめ、首の周り・脇の下・足の付け根を冷やします。経口補水液などで水分補給を行い、自力で水が飲めない、意識がない場合は、すぐに救急車を呼びます。
| 症状・状態 | 取るべき対処 |
|---|---|
| めまい・立ちくらみ | 涼しい場所へ移動し、水分補給をする |
| 頭痛・吐き気・強いだるさ | 体を冷やし、改善しなければ医療機関へ |
| 汗が出ない、反応が遅い | 救急相談・119番につなげる |
| 自力で水分を取れない | すぐに救急車を呼ぶ |
窓の遮熱や内窓は、熱中症のリスクを下げる住まいの予防対策です。ただし、熱中症の症状が出ているときは、住宅対策より先に体を冷やし、必要に応じて救急につなげることが最優先です。
室内熱中症の予防は室温・湿度・水分補給を見る
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室内熱中症の予防では、体感だけに頼らないことが重要です。暑さに慣れている方や高齢者は、室温が高くても暑いと感じにくいことがあります。湿度が高い室内では汗が蒸発しにくく、体温を下げにくくなります。
環境省の暑さ指数は、気温、湿度、日射・輻射熱を取り入れた指標です。室内でも、窓からの日差し、壁や床からの熱、湿度の高さを考えるうえで参考になります。
室内熱中症の予防で確認したいことは次の通りです。
- 室温計と湿度計を人が過ごす場所に置く
- エアコンの設定温度ではなく実際の室温を見る
- 湿度が高い日は除湿や冷房を使う
- 窓際の温度が高くないか確認する
- 夜も室内が暑いままではないか見る
- 水分補給を時間で決める
- 高齢者や子供には声かけをする
- 運動後や外出後は、涼しい室内で体を休ませる
- 外出時は帽子や日傘を使い、帰宅後も症状を確認する
室内熱中症の予防では、「何度なら絶対に安全」と決めつけないことが大切です。室温、湿度、窓からの日射、体調、年齢、運動量によって熱中症の危険度は変わります。
高齢者・子供・施設では熱中症に気づきにくい
室内熱中症では、高齢者、子供、幼児に特に注意が必要です。厚生労働省は、熱中症患者のおよそ半数が65歳以上の高齢者であり、高齢者は暑さや水分不足に対する感覚機能、からだの調整機能が低下しているため注意が必要としています。子供は体温調節能力が十分に発達していないため、周囲の配慮が欠かせません。
高齢者は「暑くない」と言っていても、室温や湿度が高いことがあります。のどの渇きに気づきにくい、トイレを気にして水分補給を控える、エアコンの風を嫌がる、電気代を気にして冷房を使わないといった行動も重なりやすくなります。
子供や幼児は、遊びやテレビ、ゲームに集中して水分補給を忘れることがあります。床に近い場所で過ごす時間も多いため、日差しで熱くなった床や窓際の熱の影響を受けやすい点にも注意します。
高齢者施設では、個室だけでなく、食堂、談話スペース、廊下、脱衣所も確認します。特に大きな窓がある食堂や西日が入る個室は、エアコンを使っていても室内温度が上がりやすい場所です。
運動後・外出後も室内熱中症に注意する
室内熱中症は、家の中で静かに過ごしているときだけに起こるものではありません。屋外で運動した後、買い物や通院から帰った後、庭仕事や散歩の後に、十分に体を冷やせないまま暑い室内で過ごすと、熱中症の症状が出ることがあります。
外出時は帽子や日傘を使い、帰宅後はすぐに涼しい室内で休みます。水分補給を行い、汗を多くかいた場合は塩分も補います。頭痛、吐き気、めまい、体のだるさがある場合は、熱中症の初期症状として早めに対処します。
大塚製薬も、室内で起こる熱中症対策として、エアコンや扇風機を使うこと、部屋の温度を測ること、風通しを良くすること、こまめな水分補給、涼しい服装を挙げています。
室内を涼しく保つことは、外出後の熱中症予防にもつながります。窓から入る熱を抑え、エアコンが効きやすい部屋に整えておくことが大切です。
エアコンだけでは室内熱中症を防げない家がある
室内熱中症を防ぐには、エアコンを使うことが基本です。ただし、エアコンだけでは室内を冷やしきれない家があります。原因は、冷房能力だけではありません。窓から熱が入り続けている場合、エアコンが冷やす量より、外から入る熱の影響が大きくなります。
夏の冷房時には、屋外から入る熱の73%が窓などの開口部から入ります。屋根や外壁よりも開口部の影響が大きいため、室内熱中症を防ぐには、窓からの日射熱を抑えることが重要です。
| 部屋・状態 | 起こりやすい問題 |
| 西向きのリビング | 午後から夕方に室温が上がりやすい |
| 2階の寝室 | 屋根からの熱と窓からの日射が重なる |
| 大きな掃き出し窓 | ガラス面から熱が入りやすい |
| 高齢者の個室 | 冷房を控えやすく、閉め切りやすい |
| 高齢者施設の食堂 | 大きな窓と人の熱で暑くなりやすい |
| キッチン | 調理熱と日射熱が重なりやすい |
エアコンの設定温度を下げても、窓際の床や壁、カーテンの裏側が熱を持っていると、室内の体感温度は下がりにくくなります。窓から入る熱を減らすことで、冷房効率が安定し、同じ設定温度でも熱中症を防ぎやすい室内環境に近づきます。
単板ガラス・アルミサッシは熱中症の原因になりやすい
長く窓を交換していない家では、単板ガラスや古いアルミサッシが残っていることがあります。この窓まわりは、現在の厳しい夏の日差しに対して弱点になりやすい部分です。
単板ガラスはガラスが1枚だけなので、外の熱が室内へ伝わりやすい構造です。アルミサッシは強度や耐久性に優れますが、熱を伝えやすい素材です。そのため、ガラス面からもサッシ枠からも熱が入りやすく、窓際の温度が上がりやすくなります。
次のような家では、室内熱中症を防ぐために窓環境を見直す価値があります。
- 単板ガラスのまま使っている
- アルミサッシの枠が夏に熱くなる
- 西日が入る窓がある
- カーテンを閉めても室内が暑い
- 窓際の床や壁が午後に熱くなる
- 夜になっても寝室が暑い
- エアコンを強くしても室温が下がりにくい
- 冬は同じ窓で寒さや結露も気になる
従来の窓性能のままでは、現在の猛暑に対して室内熱中症のリスクが残ります。エアコンを買い替える前に、熱が入り続けている窓を見直します。
遮熱シートは安く始めやすい熱中症対策
費用を抑えて室内熱中症対策を始めたい場合は、遮熱シートが選択肢になります。遮熱シートは、窓ガラスに貼って日射熱を抑える方法です。西日が強い窓、南向きの掃き出し窓、2階の寝室、キッチン横の窓など、夏だけ暑さが強い場所で使いやすい対策です。
遮熱シートが向いているのは、次のようなケースです。
- まず費用を抑えて室内の暑さ対策をしたい
- 西日が入る時間だけ部屋が暑い
- 窓そのものは比較的新しい
- サッシの開閉や気密性には大きな不満がない
- 賃貸やマンションで大きな工事が難しい
- まぶしさや目隠しも少し改善したい
ただし、遮熱シートは万能ではありません。サッシ枠から伝わる熱、冬の寒さ、結露、防音までは改善しにくいです。また、複層ガラス、Low-Eガラス、網入りガラスに貼る場合は、熱割れリスクに注意が必要です。
遮熱シートは、今すぐできる熱中症対策として有効です。一方で、家族や施設利用者が長時間過ごす部屋では、夏の熱中症対策だけでなく、冬の寒さや結露も含めて内窓やガラス交換を比較します。
室内熱中症の根本対策なら内窓が有効
室内熱中症を防ぎ、冬の寒さも同時に改善したい場合は、内窓が有効です。内窓は、今ある窓の内側にもう1枚窓を取り付ける方法です。既存窓との間に空気層ができるため、夏は外の熱が入りにくくなり、冬は室内の暖かさが逃げにくくなります。
LIXILのインプラスは、樹脂製サッシと今ある窓との間に生まれる空気層により、外気温の影響を受けにくい室内環境をつくります。遮熱高断熱複層ガラスを使うと、夏の強い日差しを約60%カットし、冷房効果を高められます。
YKK APのウチリモ内窓は、今ある窓と内窓の間に空気層をつくり、熱を伝えにくい樹脂フレームで断熱効果を高める商品です。夏の暑さだけでなく、冬の寒さや結露、防音も含めて改善しやすい方法です。
内窓が向いている場所は次の通りです。
| 場所 | 内窓が向いている理由 |
| 西向きのリビング | 午後の日射熱を抑え、冷房効率を上げやすい |
| 2階の寝室 | 夜まで残る暑さを軽減しやすい |
| 高齢者の個室 | 室温の上昇を抑え、冷房を効かせやすい |
| 子供部屋 | 遊びや睡眠中の熱中症対策になる |
| 高齢者施設の食堂 | 大きな窓から入る熱を抑えやすい |
| 北側の寝室 | 冬の寒さ・結露対策にもなる |
遮熱シートは夏の日差し対策が中心ですが、内窓は夏の暑さ、冬の寒さ、結露、防音までまとめて改善しやすい方法です。室内熱中症のリスクを下げながら、年間を通して過ごしやすい部屋に近づけられます。
室内熱中症対策は外付け日よけ・ガラス交換も使い分ける
窓の暑さ対策には、内窓以外にも外付け日よけ、ガラス交換、外窓交換があります。どの方法が合うかは、今の窓の状態と悩みで変わります。
| 方法 | 向いているケース |
| 遮熱シート | 費用を抑えて日射だけを軽減したい |
| 外付け日よけ | 西日や直射日光を窓の外で遮りたい |
| ガラス交換 | 既存サッシは使えるがガラス性能を上げたい |
| 内窓 | 夏の暑さと冬の寒さをまとめて改善したい |
| 外窓交換 | サッシごと古い、すきま風や開閉不良もある |
外付け日よけは、窓の外側で日差しを遮るため、室内側のカーテンより日射熱を抑えやすい方法です。西日が強い窓や高齢者施設の食堂では、窓の外側で日射を抑える対策が特に有効です。
サッシごと古い場合は、外窓交換も検討します。開閉が重い、すきま風がある、結露やカビがある場合は、内窓だけでなく外窓交換の方が合うことがあります。
室内熱中症対策の内窓には補助金を使える可能性がある
既存住宅の窓断熱リフォームでは、補助金を使える可能性があります。先進的窓リノベ2026事業では、内窓設置などの高断熱化リフォームが対象です。内窓設置の補助額は、建物の種類、窓の性能区分、窓のサイズによって変わります。性能区分とサイズは、対象製品に対してメーカーが発行する性能証明書に記載されます。
補助金を使って内窓を検討するときは、次の点を整理します。
- 対象製品として登録されているか
- 窓のサイズと性能区分
- どの部屋を優先するか
- 高齢者や子供が過ごす部屋を含めるか
- 西日が強い窓を優先するか
- 冬の寒さや結露も同時に解決したいか
- 登録事業者が申請できるか
室内熱中症対策として補助金を考えるなら、どの部屋の温度上昇を抑えるべきかを先に決めます。高齢者の寝室、子供部屋、リビング、高齢者施設の個室や食堂など、熱中症の影響を受けやすい場所から優先すると実用的です。
高齢者施設では窓環境の改善が命を守る
高齢者施設では、室内熱中症対策をエアコン管理と水分補給だけで終わらせないことが大切です。施設内には、冷房が効きやすい場所と、窓からの日射で暑くなりやすい場所があります。
特に注意したいのは、西日が入る個室、大きな窓がある食堂、談話スペース、2階以上の居室、脱衣所や浴室前、冷房が届きにくい廊下です。室温と湿度の記録、水分補給の声かけ、エアコンの点検に加えて、窓からの日射を減らす対策が必要です。
利用者が「大丈夫」と言っていても、室温や湿度が高い場合は体に負担がかかっている可能性があります。窓際の席を避ける、昼間は西日が入る個室のカーテンを閉める、内窓や遮熱対策で冷房の効きを安定させるなど、施設全体で熱中症を防ぎます。
室内熱中症を防ぐチェックポイント
| チェック項目 | 対策 |
| 室温計・湿度計を置いているか | 体感ではなく数値で管理する |
| 窓際が暑くなっていないか | 日射を遮る、座る位置を変える |
| 西日が入る部屋がないか | 遮熱シート・外付け日よけ・内窓を検討する |
| エアコンの冷気が部屋全体に届いているか | 扇風機やサーキュレーターで空気を動かす |
| 高齢者や子供が水分補給しているか | 時間を決めて声かけする |
| 夜も部屋が暑いままではないか | 就寝前に室温を確認する |
| 頭痛・吐き気・めまいがないか | 早めに涼しい場所へ移動し対処する |
| 補助金を使える時期か | 内窓・外窓交換の対象製品を確認する |
室内の熱中症に関するよくある質問
室内でも熱中症になりますか?
室内でも熱中症になります。総務省消防庁のデータでは、熱中症の救急搬送は住居での発生が最も多く、38,292人、全体の38.1%を占めています。室温、湿度、窓からの日差し、冷房の使い方、水分不足が重なると、家の中でも発症します。
エアコンをつけていても室内熱中症になりますか?
エアコンをつけていても、実際の室温が十分に下がっていない、湿度が高い、窓から強い日差しが入り続ける場合は熱中症のリスクがあります。リモコンの設定温度ではなく、室温計と湿度計で実際の室内環境を確認してください。
運動後に室内で熱中症になることはありますか?
あります。屋外で運動した後や庭仕事の後に、暑い室内で体を冷やせないまま過ごすと、熱中症の症状が出ることがあります。帰宅後は涼しい部屋で休み、水分補給を行い、頭痛や吐き気、めまいがないか確認しましょう。
遮熱シートだけで十分ですか?
夏の日差しを抑えるだけなら、遮熱シートで効果を感じる場合があります。ただし、古いサッシの熱、冬の寒さ、結露、防音までは改善しにくいです。室内熱中症を防ぎ、冬の寒さも改善したい場合は、内窓やガラス交換、外窓交換も比較します。
内窓は室内熱中症対策になりますか?
内窓は、窓から入る熱を抑え、冷房効率を高める対策になります。夏の室内熱中症対策だけでなく、冬の寒さや結露対策にもつながるため、年間を通して効果を感じやすい方法です。
室内熱中症は窓環境を変えて防ぐ
室内熱中症は、屋外だけでなく家の中や高齢者施設でも起こります。単板ガラスや古いアルミサッシ、西日が入る大きな窓がある部屋では、エアコンだけでは室温を下げきれないことがあります。
費用を抑えて始めるなら、遮熱シートや外付け日よけで窓から入る日射を減らします。ただし、夏の熱中症対策だけでなく、冬の寒さや結露まで根本的に改善したい場合は、内窓が有効です。内窓は補助金を使える可能性もあり、冷房効率を高めながら冬の断熱にもつながります。
室内熱中症対策は、エアコンの設定温度だけで考えるものではありません。室温、湿度、水分補給、窓から入る熱、住宅の断熱性能をセットで見直すことが大切です。窓環境を変えることは、暑い夏に家族や施設利用者の命を守るための現実的な対策です。

